浪人の王者頭山満 (1984年) (河出文庫)

浪人の王者頭山満 (1984年) (河出文庫)

浪人の王者頭山満 (1984年) (河出文庫)

こちらも、秋も一箱で買った本。少し早い時間に買ったような気がするから、200円ぐらいか。

「二世論」つながりでいうと、夢野久作の名前が出るといつも父親の杉山茂丸が出てきて、杉山茂丸が出てくると、頭山満が出てくる。以前から興味はあっても、玄洋社のカシラぐらいのことしか知らなかったので面白く読んだ(実際は、頭山満は玄洋社の社長にはなったことはないとのこと)。

まあ、超法規的存在っていうかな。時代だな。孫文を大分助けている話は知らなかった(有名な話なみたい)。

この本によると結局、頭山満は人物としては面白いけれど、テロの恐怖を背景に政治家に圧力かけた自分じゃやらないテロリストの親玉ってことだよなあ。大部の作品の一部を文庫化したみたいだから、そのせいかもしれないけれど。

個人的な驚きは、初めて杉森久英の本を面白く読めたこと。途中まで読んで著者名を確認するまで気づかなかった。以前読んだ作品はなんだったのか思い出せないけれど、楽しめなかったのに(あ、天皇の料理番 (集英社文庫 111-C)だ)。

まあ、杉森久英は僕と同郷の作家で、誰かにきかされて子供の頃に読んだせいかも。読み直してみるかな。

鬼降る森

鬼降る森

鬼降る森

ヤマサキさんに薦められて読んだ「火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)」のものすごさに驚いた。こちらもスゴいと薦められて早速買っておいたんだけれど、1ヶ月ほど寝かせてしまった。

いやあ、まいった。今年一番です。今年二番は「火花」なんだけど。

高山さんが本気で書いたものなら、アパートの隣の部屋から聞こえる夫婦喧嘩の聞き書きだって読みたい。久しぶりにずっと追いかけたい作家に出会った気がする。

生まれ育った高千穂の天孫降臨神話がテーマといえばテーマなんだけれど、高山さんが高千穂を語るときのその語り口にしびれるんだな。

いいからみんな読もうぜ。

火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)

火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)

火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)

ヤマサキさんに薦められて読んでみる。ヤマサキさんは森さんに薦められたとのこと。

すごいな、これ。出版からはずいぶん経っているけれど、僕が今年読んだ中では今のところ一番。ページを繰るごとに著者の意気込みがバンバン伝わってくる。

「火花」を読んですぐに、北条民雄の「いのちの初夜 (角川文庫)」も買ってあるけれど、なんだかもったいなくてまだ読んでいない。最初の数行を眺めただけだけれど、とても完成度が高い。

ちなみに、高山さんは最近千駄木の某スナックに出没したそうで、ミュージシャンみたいなカッコよさだったとか。カバー裏の著者近影、確かにカッコいい。

アーサー・C・クラーク死去

読んだ本メモには書かなかったけれど、「幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)」は暮れに(今年だっけか)読んだ。当然再読。

正直言うと高校生の頃に読んだようには、感動しなかったけれど、やっぱり、なんというかな、いいもんだな、と思ったんだった。

決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)」は大学1年の春に、駒込の狭いアパートで、ベッドに寝転んで読みはじめてそのまま読み終わったのを、よーく覚えている。

オカルトにはまったり、後で反省してみたりもしたようで(何で読んだんだったか?)、テレビを作ってみたり、映画もやったり、偉大な先駆者だな。英国的な知性という感じもする。

また会う日まで(上・下)

また会う日まで 上 また会う日まで 下

「正直なところ、マラソンのゴール地点へ倒れ込んだような心境だ。」(訳者あとがき)

同感。

いやいや、すばらしい翻訳に感謝。僕の英語力では原書ではとても読めない長さ。でもこういう翻訳ならちゃんと読める。時間はかかっても。最後の50ページの達成感といったら。長編小説の醍醐味。

アーヴィングはどの作品をとっても、映画になっても良いし、翻訳の質も高いと思う。翻訳が良いのはほんとに幸せなことだなあ。読者にも作家にも。

思い出してみると、高校生の頃に読んだ「ガープの世界〈上〉 (新潮文庫)」が初めて小説を読んだなあ、という気になった覚えがある。虚脱と法悦というか。それまでも小説は好きでたくさん読んではいたけれど、誰かの批評だとか書評だとかじゃなくて、自分の感想に自信を持ったと言うかなあ。僕の中ではエポックな作家。あとどれくらい読めるんだろう。

これは、Amazonで買った。

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

読んだことを大っぴらにするのが恥ずかしい気がするのはなんでだろう。でも、大っぴらにするんだけど。このメタな構造をどう理解すればいいんだろう。どうもこの新装版(改版版)というのが、アレな気がする。とはいっても前の版を読み直すほどの気にもならず。

この中に何度か出てくる「フランクリン自伝 (岩波文庫)」や、同様にフランクリン自伝をたくさん引用する「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)」は、とてーもオススメ。この二冊を読んで、まだ続けてこういったテーマで読んでみたいと思えば、読んでみてもよいのでわ。

これはAmazonで買った。