二世論 (新潮文庫)

二世論 (新潮文庫)

二世論 (新潮文庫)

こないだの秋も一箱で買った本は、どれもなかなか面白くて良い買い物できたなあと思いながらはや半月ぐらい。

どこの箱でいくらで買ったのかは覚えていないのだけれど、終わり際になんとなく手に取って特に期待もしないで買ったので50円かな。期待を裏切る面白さでした。

いわゆる「二世」へのインタビュー。出てくる二世はラジオやテレビにもよく出ている人がたくさん。

著者がちゃんとしているので、変な質問をしなくて聞かれる方はとても答えやすそうなのがいいね。ラジオやテレビのインタビューはこっちが恥ずかしくなることがほとんどで、聞かれる方もかわいそうになるけれど。

岸田衿子今日子姉妹の話は谷根千の記事を思い出しながら楽しんだ。ぶっちゃけ度では間違いなく谷根千87号の勝ちだけど。

金田一京助監修は実際は春彦がやってて、名前だけだったことなんて、全然知らなかった。あの、図書館の暗がりでよく名前を見かけた金田一京助。地蔵のように並んでるから、字体まで思い浮かぶ金田一京助。

あと印象的なのは高円宮憲仁親王へのインタビュー。明確で迷いのない受け答えが、へえ、人物だなあと。

他にも、へえ、この人も、ってのがあったりで、楽しめた。途切れ途切れの短い時間に読むのにおすすめ。

鬼降る森

鬼降る森

鬼降る森

ヤマサキさんに薦められて読んだ「火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)」のものすごさに驚いた。こちらもスゴいと薦められて早速買っておいたんだけれど、1ヶ月ほど寝かせてしまった。

いやあ、まいった。今年一番です。今年二番は「火花」なんだけど。

高山さんが本気で書いたものなら、アパートの隣の部屋から聞こえる夫婦喧嘩の聞き書きだって読みたい。久しぶりにずっと追いかけたい作家に出会った気がする。

生まれ育った高千穂の天孫降臨神話がテーマといえばテーマなんだけれど、高山さんが高千穂を語るときのその語り口にしびれるんだな。

いいからみんな読もうぜ。

火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)

火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)

火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)

ヤマサキさんに薦められて読んでみる。ヤマサキさんは森さんに薦められたとのこと。

すごいな、これ。出版からはずいぶん経っているけれど、僕が今年読んだ中では今のところ一番。ページを繰るごとに著者の意気込みがバンバン伝わってくる。

「火花」を読んですぐに、北条民雄の「いのちの初夜 (角川文庫)」も買ってあるけれど、なんだかもったいなくてまだ読んでいない。最初の数行を眺めただけだけれど、とても完成度が高い。

ちなみに、高山さんは最近千駄木の某スナックに出没したそうで、ミュージシャンみたいなカッコよさだったとか。カバー裏の著者近影、確かにカッコいい。

アーサー・C・クラーク死去

読んだ本メモには書かなかったけれど、「幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)」は暮れに(今年だっけか)読んだ。当然再読。

正直言うと高校生の頃に読んだようには、感動しなかったけれど、やっぱり、なんというかな、いいもんだな、と思ったんだった。

決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)」は大学1年の春に、駒込の狭いアパートで、ベッドに寝転んで読みはじめてそのまま読み終わったのを、よーく覚えている。

オカルトにはまったり、後で反省してみたりもしたようで(何で読んだんだったか?)、テレビを作ってみたり、映画もやったり、偉大な先駆者だな。英国的な知性という感じもする。

また会う日まで(上・下)

また会う日まで 上 また会う日まで 下

「正直なところ、マラソンのゴール地点へ倒れ込んだような心境だ。」(訳者あとがき)

同感。

いやいや、すばらしい翻訳に感謝。僕の英語力では原書ではとても読めない長さ。でもこういう翻訳ならちゃんと読める。時間はかかっても。最後の50ページの達成感といったら。長編小説の醍醐味。

アーヴィングはどの作品をとっても、映画になっても良いし、翻訳の質も高いと思う。翻訳が良いのはほんとに幸せなことだなあ。読者にも作家にも。

思い出してみると、高校生の頃に読んだ「ガープの世界〈上〉 (新潮文庫)」が初めて小説を読んだなあ、という気になった覚えがある。虚脱と法悦というか。それまでも小説は好きでたくさん読んではいたけれど、誰かの批評だとか書評だとかじゃなくて、自分の感想に自信を持ったと言うかなあ。僕の中ではエポックな作家。あとどれくらい読めるんだろう。

これは、Amazonで買った。

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

読んだことを大っぴらにするのが恥ずかしい気がするのはなんでだろう。でも、大っぴらにするんだけど。このメタな構造をどう理解すればいいんだろう。どうもこの新装版(改版版)というのが、アレな気がする。とはいっても前の版を読み直すほどの気にもならず。

この中に何度か出てくる「フランクリン自伝 (岩波文庫)」や、同様にフランクリン自伝をたくさん引用する「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)」は、とてーもオススメ。この二冊を読んで、まだ続けてこういったテーマで読んでみたいと思えば、読んでみてもよいのでわ。

これはAmazonで買った。