田端文士村 (中公文庫)

本郷菊坂の鳳明館という旅館の隣に住んでいた頃、近藤富枝さんの本郷菊富士ホテル (中公文庫 (こ21-1))を読んで、とても面白くて出てくる名前にいちいちわくわくして堪能したんだった。実は、同じ著者のこの田端文士村はなんとなく遠く感じて読んでいなかったんです。谷根千辺りのIT担当をなのっておいて。(しかも、ここ最近はあんまり仕事もできていない。ゴメン)

表紙の絵は今の田端駅南口。文中では表口(今の北口)に対して裏口といわれているところ(だと思うのだけど、出口すぐの急な階段が見えないのが気になる)。

田端文士村 (中公文庫)

僕の家の最寄り駅入り口になる。ここ、田端一丁目に越してきて約一年。やっと町の様子が身に付いてきたというか、方向感覚がつかめてきたというか。そういうときに、この本を読んだのは正解だったなあ。芥川龍之介の餓鬼窟も、日向きむこ大正美人伝―林きむ子の生涯 (文春文庫)の蛇屋敷もとても近いんだな。そういうことがよーくわかる。で、今はそういった面影がほとんど残っていないのもよーくわかる。

文士村記念館、一応行ってみようか。近いんだし。

室生犀星、萩原朔太郎ぐらいは田端に暮らしていたのはしっていたけれど、小林秀雄、菊池寛、堀辰雄、中野重治、佐田稲子、平塚らいてう、川島芳子(!)、竹久夢二に田河水泡。などなど。今の本駒込図書館のあたりは、カフェー紅緑があったこと。紅緑のすぐならびには動坂松竹という映画館があったこと。佐田稲子は紅緑で働いていたこと。などなど。

これはほうろうで買った。

ほしのはじまり―決定版 星新一ショートショート

ほしのはじまり―決定版 星新一ショートショート

ずいぶん久しぶりの星新一。高校生のころに文庫を一通り読んで以来か。やっぱりちゃんと面白い。

この本で興味深かったのは選集の月報に載っていたエッセイを再録したもの。父星一のこととか、作品のアイデアの練り方とか。

これから星新一を読もう買おうというなら、ここから入ってもいいのかも。でもまあ、ちと高いな。

これは文教堂@文京グリーンコートで買った。

禁断のパンダ

禁断のパンダ

ミステリーは久しぶり。素直に言えば面白く読めた。ただやっぱり構成がごちゃごちゃしてて、読みにくいのも確か。もっと練ればその分だけ面白くなりそうなところが惜しいといえば惜しいか。

ネタバレになるから書かないけど、半分ほど読んだところでイヤな感じがして、やっぱりそうだったか、となって、んー。一気読みしたけど、んー。

これはAmazonで買った。

その数学が戦略を決める, ヤバい経済学 [増補改訂版]

その数学が戦略を決める ヤバい経済学 [増補改訂版]

一気に読めて、面白くて、AmazonやGoogleのパワーの本質がどこにあるのか?っていうようなこともちょっとわかったりして、お勧めの組み合わせ。ヤバい経済学 [増補改訂版]は、改訂前の版を読んだ人も読んで損なし。

大学受験で経済学部ってのはハナっから行く気はなかったけれど、毎日こういうこと考えていられるなら、経済学者は楽しい。今の自分が受験するとしたら経済学部だな、たぶん。

これはAmazonと丸善で買った。

自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々

自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々

うかつにも、森さんの新刊を見逃していた。新年会の席で知らないといったらものすごい驚かれた。読んでみた。

これはいいね。森さんが書かなければ、僕は佐藤忠吉さんのことも木次乳業のことも知らずにすごしたと思う。そういう意味で、僕にとってはこれは森さんが書くべきテーマだし、気楽でやさしい文体が生きて、とても良いと思う。

しかし、島根県、すごいな。石見もそうだけど木次も景色だけでなんだか泣けてくる。

これは…貰った(忸怩)。