「祖先の物語」は買い

進化論は、直感的にはシンプルだけれど、現実を理解するために使おうとするととても難しい。

祖先の物語 ~ドーキンスの生命史~ 下 祖先の物語 ~ドーキンスの生命史~ 上

ドーキンスの近刊「祖先の物語」は、厳密で率直で謙虚で面白い。

利己的な遺伝子 (科学選書)」以来、安易な間違った解釈や誤解と戦い続けているせいで、誤解されやすいポイントをしつこいくらいに念押しするのもちょっと面白い。

本当を言うと、最初と最後の100ページずつぐらいはものすごくスリリングで面白いのだけれど、挟まれた真ん中あたり(まあ大半ですわ)は、分類学の専門用語となじみのない生物の学名がオンパレードで、僕にはかなり難解。だいぶ読み飛ばした。

でも、そういったところは、後で事典的に読めばいい。序章と終章を楽しみながら、ときどき戻ってじっくり読んで理解すれば、もっと、ずっと、楽しめるんだと思う。

うまく言えないのだけれど、システム設計をしていると感じるいろいろなことや、問題解決のための良く知られた手法と、よく似たパターンがそこかしこにでてくるところも興味深い。

それほど深く触れられてはいないけれど、「進化しやすさの進化」というのも気になる概念。

再読するだろうなあと思える数少ない本で、今のところ今年一番。

ちょっと高いと思うかもしれないけれど、買いです。

秋も一箱古本市チラシ

id:seishubuでお知らせしている「秋も一箱古本市」順調に準備が進んでいます。

これから不忍ブックストリートのあちこちのお店で目にすることになると思いますが、はてなのフォトライフにタグ「秋も一箱古本市2006」でチラシ画像を掲載しました。f:id:ymorimoto:20060923160844:image:small

遠方の方は、地図も載っているので当日の計画に役立ててください。

id:musessouさん、宣伝にもどんどんご利用ください。

不忍ブックストリート公式サイトでも随時更新されるようになっています。

人口減社会へ

 総務省が四日、発表した住民基本台帳に基づく今年三月三十一日現在の人口動態によると、全国の人口は前年比三千五百五人減の一億二千七百五万五千二十五人で、一九六八年の調査以来、初めて減少に転じた。

ちょっと感慨深いニュース。

僕の親は人口を増やした最後の世代になるのかも。

あ、1968年以前増えてたってことは言ってないか。戦後は死人より生まれるほうが増えていたと思うけど。

まあ、確かなことは、ボク達は意思で人口を減らし始めた最初の世代ってことだ。

北村薫 「ひとがた流し」

今日の昼頃に往来堂で買って、ちびちび飲みながら4時間かかって一気読み。

まあ新聞小説らしい、といえば、らしい、ゆるい構成だけれども、面白く読んだ。
ちょっとした短いセンテンスがいい。書き下ろしで使い回したれ。

エピソードでいうと、「子供の大人に対する無条件な信頼」のあたりは、やっぱ響いたなあ。