進化論は、直感的にはシンプルだけれど、現実を理解するために使おうとするととても難しい。
ドーキンスの近刊「祖先の物語」は、厳密で率直で謙虚で面白い。
「利己的な遺伝子 (科学選書)」以来、安易な間違った解釈や誤解と戦い続けているせいで、誤解されやすいポイントをしつこいくらいに念押しするのもちょっと面白い。
本当を言うと、最初と最後の100ページずつぐらいはものすごくスリリングで面白いのだけれど、挟まれた真ん中あたり(まあ大半ですわ)は、分類学の専門用語となじみのない生物の学名がオンパレードで、僕にはかなり難解。だいぶ読み飛ばした。
でも、そういったところは、後で事典的に読めばいい。序章と終章を楽しみながら、ときどき戻ってじっくり読んで理解すれば、もっと、ずっと、楽しめるんだと思う。
うまく言えないのだけれど、システム設計をしていると感じるいろいろなことや、問題解決のための良く知られた手法と、よく似たパターンがそこかしこにでてくるところも興味深い。
それほど深く触れられてはいないけれど、「進化しやすさの進化」というのも気になる概念。
再読するだろうなあと思える数少ない本で、今のところ今年一番。
ちょっと高いと思うかもしれないけれど、買いです。