引越貧乏 (新潮文庫)

色川武大 引越貧乏 (新潮文庫)

これも、先日の秋も一箱で見つけて買った本。ブックオフの値札が100円とついたままなのはご愛嬌。たしか終了間際に50円で。

古本を買うのはたいていの場合、以前にも読んでいるけれど、手元になくてまた読みたいと思って買うんだけれど、これもそう。

はじめは50歳記念の短編集の予定が途中で間に合わずに還暦記念になったという。タイトルになっている引越貧乏は急逝する3ヶ月前に脱稿されたもの。

しみじみと、いい小説読んだなあ。

二世論 (新潮文庫)

二世論 (新潮文庫)

二世論 (新潮文庫)

こないだの秋も一箱で買った本は、どれもなかなか面白くて良い買い物できたなあと思いながらはや半月ぐらい。

どこの箱でいくらで買ったのかは覚えていないのだけれど、終わり際になんとなく手に取って特に期待もしないで買ったので50円かな。期待を裏切る面白さでした。

いわゆる「二世」へのインタビュー。出てくる二世はラジオやテレビにもよく出ている人がたくさん。

著者がちゃんとしているので、変な質問をしなくて聞かれる方はとても答えやすそうなのがいいね。ラジオやテレビのインタビューはこっちが恥ずかしくなることがほとんどで、聞かれる方もかわいそうになるけれど。

岸田衿子今日子姉妹の話は谷根千の記事を思い出しながら楽しんだ。ぶっちゃけ度では間違いなく谷根千87号の勝ちだけど。

金田一京助監修は実際は春彦がやってて、名前だけだったことなんて、全然知らなかった。あの、図書館の暗がりでよく名前を見かけた金田一京助。地蔵のように並んでるから、字体まで思い浮かぶ金田一京助。

あと印象的なのは高円宮憲仁親王へのインタビュー。明確で迷いのない受け答えが、へえ、人物だなあと。

他にも、へえ、この人も、ってのがあったりで、楽しめた。途切れ途切れの短い時間に読むのにおすすめ。

浪人の王者頭山満 (1984年) (河出文庫)

浪人の王者頭山満 (1984年) (河出文庫)

浪人の王者頭山満 (1984年) (河出文庫)

こちらも、秋も一箱で買った本。少し早い時間に買ったような気がするから、200円ぐらいか。

「二世論」つながりでいうと、夢野久作の名前が出るといつも父親の杉山茂丸が出てきて、杉山茂丸が出てくると、頭山満が出てくる。以前から興味はあっても、玄洋社のカシラぐらいのことしか知らなかったので面白く読んだ(実際は、頭山満は玄洋社の社長にはなったことはないとのこと)。

まあ、超法規的存在っていうかな。時代だな。孫文を大分助けている話は知らなかった(有名な話なみたい)。

この本によると結局、頭山満は人物としては面白いけれど、テロの恐怖を背景に政治家に圧力かけた自分じゃやらないテロリストの親玉ってことだよなあ。大部の作品の一部を文庫化したみたいだから、そのせいかもしれないけれど。

個人的な驚きは、初めて杉森久英の本を面白く読めたこと。途中まで読んで著者名を確認するまで気づかなかった。以前読んだ作品はなんだったのか思い出せないけれど、楽しめなかったのに(あ、天皇の料理番 (集英社文庫 111-C)だ)。

まあ、杉森久英は僕と同郷の作家で、誰かにきかされて子供の頃に読んだせいかも。読み直してみるかな。